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日本と海外で違う 栄養素の「適量」

小浦ゆきえ

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多くの方が「アメリカはサプリメントの先進国」、「ヨーロッパはハーブの先進国」というイメージを持っているかもしれません。そのため、海外で生産されたサプリメントを個人輸入したり、国内で販売されている海外製品を利用する場合もあるでしょう。

でも、サプリメントを買う前にちょっと注意してほしいのが、「すべての製品が日本人に合うわけではない」ということです。どうしてこのようなことが起こるのか、今回は「海外製のサプリメントを利用する際に注意したいこと」を紹介していきます。

体格と体質の違い

欧米人と日本人を比べた時、体格や肌の色・お酒の強さなどが違うことはわかりますよね。

単純な話ですが、体格が違えば、体を維持するのに必要な栄養素の量や、摂り過ぎとなる上限量も違ってきます。日本人の食事摂取基準に合わせて設計・製造されたサプリメントなら良いのですが、海外で作られた製品を日本に持ち込んだだけという製品の場合、日本人にとって摂り過ぎになってしまう場合もあるので注意が必要です。

また、肌の色が違うと、日光を浴びた時に皮膚でビタミンDを合成する能力が違います(有色人種は合成能力高&紫外線が多い地域に住んでいる)。日本人でも直射日光を浴びない生活の人が増え、作られるビタミンDの量が減ってきているので、ビタミンD補充は適量ならOKです。でも、「妊娠期に過剰摂取は避けたい脂溶性ビタミン+欧米人の適量とは差がある」なので、海外製品でビタミンDがたっぷり入っているものは注意が必要です。

この他、遺伝的に肝機能に差があるため、お酒の強さが違うということもわかっています。ということは、お酒だけでなく他の栄養素の代謝能力も違って当然ですよね。

環境と食習慣の違い

食文化の違いで必要度が変わってくる栄養素の代表的なものがヨウ素です。

和食には昆布やわかめ、ヒジキ、のりなどの海藻がよく登場します。日本人にとっては普通のことですが、海外で海草を食べる食文化があるところはあまりありません(先進国では、島国である日本とイギリス周辺の一部のみ)。また、海草を食べる食文化のない地域の人は、海草を消化・吸収するための腸内細菌がおらず栄養素を吸収できないという報告も。海草には、食物繊維(ネバネバの成分)の他、カルシウムなど海のミネラルが豊富に含まれています。海草に豊富で、他の食品にはあまり含まれていない特徴的な栄養素がヨウ素(ヨード)なのです。

実はこのヨウ素、日本人は普段からよく食べていて消化吸収能力もあるので、海草を摂りすぎるだけでも過剰摂取が報告されるほど。ところが、海草を食べる習慣のない欧米では「不足しやすい栄養素」として扱われています。そのため、アメリカ製やヨーロッパ製のベースサプリメントはヨウ素を含んでいることが多いのです。

自分と赤ちゃんをを守るために、買う前のチェックを!

このように、前提が違う環境で作られたサプリメントも、日本ではあまり区別されないままに流通しています。それに気付けるかどうかは、買い手であるあなた次第。
サプリメントを買う前に、「どんな成分がどのくらい入っているのか」「その成分は本当に必要なのか」を冷静にチェックしましょう。

ちなみに、製品によっては「どんな成分が入っているのか」だけをアピールして「どのくらい入っているのか」が書かれていないものもあります。そんな広告を見た時は「買ってはいけないサプリメント」だと思ってくださいね。