デスクワークが精子DNA断片化率に及ぼす影響
男性のデスクワークは精子DNA断片化率の上昇を招く可能性のあることがポーランドで実施された研究で明らかになりました。
ポメラニアン医科大学の研究チームは男性のデスクワークの精子の質への影響を調査するべく、大学病院に通院中の男性254名を対象に研究を実施しました。
週に35時間以上働く男性に週当たりのデスクワークの時間を質問票で回答してもらい、デスクワークに従事する時間が勤務時間の半分以上(17.5時間以上)の男性(152名)と半分未満の男性(102名)にわけ、精液検査や精子DNA断片化率件検査の結果との関係を解析しました。
その結果、デスクワークの時間と精液検査結果は関連しませんでしたが、精子DNA断片化率と有意な関連が見られました。
勤務時間の半分以上をデスクワークに従事する男性は半分未満の男性に比べて精子DNA断片化率が有意に高い(中央値 21.00% 対 16.50%)ことがわかりました。また、精子DNA断片化率が低い(15%未満)割合が有意に低く(27.63% 対 45.10%)、不良とされる(30%以上)割合は有意に高い(30.92% 対 16.67%)ことがわかりました。
勤務時間の半分以上をデスクワークに従事する男性は半分未満の男性に比べて精子DNA断片化率が有意に高い(中央値 21.00% 対 16.50%)ことがわかりました。また、精子DNA断片化率が低い(15%未満)割合が有意に低く(27.63% 対 45.10%)、不良とされる(30%以上)割合は有意に高い(30.92% 対 16.67%)ことがわかりました。
さらに、勤務時間の半分以上がデスクワークである男性はそうでない男性に比べて、精子DNA断片化率が正常(低い)割合は約半分(OR:0.4648)で、不良の割合は2倍以上(OR:2.2381)であることもわかりました。
このことから男性の長時間のデスクワークは精液所見には影響しないものの、精子DNA断片化率上昇のリスク要因になる可能性があることがわかりました。
また、それは精巣の温度上昇や精巣温度上昇を介した酸化ストレスの上昇のためではないかとしています。
また、それは精巣の温度上昇や精巣温度上昇を介した酸化ストレスの上昇のためではないかとしています。
男性の精巣の温度は体温に比べて、1-2℃低い、32から35℃の間が適しているとされています。なぜなら、高温下で精子形成に関与する遺伝子発現レベルが落ち、精子をつくるのに障害が起こってしまうからです。
そのため、サウナや長風呂、身体にフィットする下着、膝上でPCを操作することは精子の質の低下を招くおそれがあることが、これまでの研究で明らかにされています。
今回の研究は長時間同じ姿勢でいるデスクワークも股間に熱がこもり、精巣の温度が上昇し、精子の質の低下を招くリスクファクターになるのではないかと考え、実施されました。
結果は精液所見は変わらなかったものの精子の断片化率を悪化させました。
これは精巣の温度が上昇したことと、それによる酸化ストレスの上昇によるものではないかとしています。
長時間デスクワークに従事する男性は、定期的な休息とゆったりした下着などで通気性をよくすることを心がけることが大切かもしれません。
また、妊活男性にとって、精液検査が正常であっても精子DNAの断片化率も上昇にも目を向ける必要がありそうです。