母児の健康

出生児の食物アレルギーリスク低減における妊娠中のオメガ3脂肪酸補充の重要性

細川忠宏

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妊娠中や授乳中に母親がオメガ3脂肪酸のサプリメントを摂取することで、出生児の卵やピーナッツへのアレルギーリスクを低減する可能性があることが分かりました。
一方で、小児自身が同じサプリメントを摂取した場合では、アレルギーの予防効果は確認されなかったということです。

今までの研究によって、母親が妊娠中や授乳期にオメガ3脂肪酸のサプリメントを摂取することが、出生児の食物アレルギーの予防に有効である可能性がわかってきています。今回台湾で行われた研究では、母親または出生児自身がオメガ3脂肪酸のサプリメントを摂取することで、食物アレルギーの発症を予防するかどうかが調査されました。

参加者は、全3274組の母子でした。そのうち、妊娠中の摂取、妊娠中から授乳中の摂取、そして出生児自身のオメガ3脂肪酸サプリメントの摂取にグループを分け、その有効性を比較しました。

その結果、妊娠中および授乳中の母親がオメガ3脂肪酸のサプリメントを摂取すると、子どもの1歳までの卵とピーナッツに対するアレルギーのリスクが低下しました、さらに、生後3年以内の食物アレルギーの発症や、卵とピーナッツアレルギーのリスク、生後3年以降のピーナッツとカシューナッツアレルギーのリスクも低下することが確認されました。

母親が摂取したオメガ3脂肪酸の平均量は、一日あたり492~3700mgでしたが、摂取量の増加に応じて、子供の卵アレルギーリスクがより抑えられることが確認されました。


一方、出生児自身が幼児期にオメガ3脂肪酸のサプリメントを摂取することと食物アレルギーリスクとの間に、明確な関連は見られませんでした。

これにより、出生児自身ではなく、妊娠中および授乳中に母親がオメガ3脂肪酸のサプリメントを摂取することが、子供の食物アレルギー症状の発症やそのリスクを低減するのに役立つことが示唆されました。

<コメント>
妊娠中および授乳中の母親のオメガ3サプリメントは、赤ちゃんの卵やピーナッツに対する過敏性のリスクを減少させる可能性が確認されました。

一方、子供に与えるオメガ3サプリメントは、食物アレルギーの予防に有効ではないことが示されました。

さらに、母親が摂取するオメガ3サプリメントの量が増えると、赤ちゃんの卵に対する過敏性の低減も、より大きくなりました。

つまり、子供のアレルギー予防には、子供自身よりも、母親が妊娠中からオメガ3脂肪酸を摂取することが有益である可能性があるということです。