母児の健康 食生活 (栄養)

新たにわかった「食物繊維が食べすぎを防ぐしくみ」とは

小浦ゆきえ

食物繊維はダイエットの定番

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ダイエットの定番として知られている食物繊維ですが、「胃で膨らむことで満腹感を与える」、「脂肪・糖質の消化・吸収を抑える」、「腸内環境を改善して、痩せやすい体質になる」といったことが言われてきました。

もちろん、これらの効果によるダイエット効果も期待できるのですが、さらに新たなダイエット効果の仕組みがわかってきました。

それは、「ホルモンを介して脳に働きかける」という仕組みです。

参考:LINK de DIET サプリメントによって高カロリー食品への欲求をオフにできる?

食物繊維(イヌリン)由来の成分で 高カロリー食への欲求が減

プロビオン酸は短鎖脂肪酸の1種で、糖質が腸内細菌で発酵されることで作られます。このプロビオン酸が、胃からのホルモン分泌をコントロールして、脳の食べ物への欲求をコントロールしていることは知られていました。
さらに水溶性食物繊維で多糖類の1種であるイヌリンが発酵することで作られるイヌリンプロピオン酸エステルに、プロビオン酸よりも強い食欲コントロール機能があるのでは?ということで注目が集まっています。

実験では食物繊維のイヌリンと、イヌリンが腸内細菌で発酵される時につくられるイヌリンプロピオン酸エステルのサプリメントを摂ってもらい、いろいろな食品の写真を見せて脳の反応をみました。サラダ、魚や野菜、チョコレートやケーキ、ピザなど、カロリーの低いもの高いものを織り交ぜて確認したところ、イヌリンプロピオン酸エステルを摂ったグループでは高カロリー食品への反応が低くなる傾向がみられたそうです。

同様に、サプリメントを摂った後に「食べたいだけ食べる」という実験では、食べた量が約10%少ないという結果に。

どのくらいとればいいの?イヌリンを多く含む食材は?

報告では、この研究で使用したイヌリンプロピオン酸エステル10gに相当する量を食物繊維で摂ろうとすると1日約60g。
これは日本人の平均摂取量の約4倍…と、とんでもない量になりますが、ここまで多くなくても、「胃で膨らむことで満腹感を与える」、「脂肪・糖質の消化・吸収を抑える」、「腸内環境を改善して、痩せやすい体質になる」といったほかの効果との相乗効果でダイエットに有効なことは明らか。
ダイエットだけでなく健康維持のためにも、積極的に食物繊維を取り入れた食生活を目指したいですね。

イヌリンを多く含む食材として有名なのが菊芋やヤーコン。でも、日常的に手に入れるのは難しいかもしれません。いつでも手に入り、イヌリンが豊富な食材としておすすめなのが『ゴボウ』。
食物繊維を増やすことと、腸内環境を改善することの相乗効果でプロビオン酸を増やす効果が期待できるので、味噌や納豆などの発酵食品や乳酸菌を含む食品やサプリを組み合わせると良いでしょう。