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コエンザイムQ10が卵巣反応不良女性の卵巣予備能や顕微授精の成績に及ぼす影響

細川忠宏

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卵巣反応不良(POR)の女性がコエンザイムQ10を摂取することで、採卵数や成熟卵子数、受精卵数が増え、さらに顕微授精後の胚移植のキャンセル率も低下したことが報告されています。

コエンザイムQ10は細胞がエネルギーを生み出す際に必要となる成分で、強い抗酸化作用を持つことでも知られています。卵子は多くのエネルギーを必要とすることから、CoQ10による卵子の働きや質の改善が期待されています。

今回の研究では、PORと診断された100名の女性を、CoQ10を摂取するグループと、摂取しないグループに分けて比較しました。対象となったのは25〜45歳で胞状卵胞数(AFC)が7個未満、またはAMHが1.2 ng/mL未満の女性でした。

CoQ10を服用するグループでは、1日400mgのCoQ10と葉酸を、治療開始1か月前から採卵前の排卵を促す注射の日まで摂取しました。対照群では葉酸のみを服用しました。

結果として、CoQ10を摂取したグループでは、卵巣内の卵胞数(AFC)が有意に増加しました。また、採卵数の中央値は5個で、CoQ10を摂取しなかったグループの4個より多く、成熟した卵子数も5個対3個、受精卵数も3個対2個と、いずれもCoQ10を摂取したグループで良好な結果となりました。

さらに、卵胞の発育を反映する卵胞ホルモンの値や、胚移植時に重要となる子宮内膜の厚さも、CoQ10群で有意に良好な結果となりました。

特に注目されたのは、胚移植のキャンセル率です。胚移植まで進めなかった割合は、CoQ10を摂取したグループでは14.0%、摂取しなかったグループでは36.0%であり、CoQ10を摂取したグループで大きく低下していました。

一方で、妊娠率については、化学的妊娠率、臨床妊娠率ともに両群で大きな差はみられませんでした。ただし、流産率はCoQ10を摂取したグループでやや低い傾向がみられました。

今回の研究から、顕微授精治療前にCoQ10を服用することで、卵巣反応不良の女性において、採卵数や成熟卵子数、受精卵数の改善に加え、胚移植まで進める可能性が高まることが示されました。妊娠率への影響については、今後さらに大規模な研究での検証が期待されます。

※卵巣反応不良(POR:Poor Ovarian Response)とは、不妊治療で排卵誘発を行っても、卵胞が十分に育たず、採れる卵子の数が少なくなってしまう状態を指します。体外受精や顕微授精では、通常は複数の卵子を育てるために排卵誘発剤を使用しますが、PORの方では薬を使っても卵胞の数があまり増えず、採卵数が少なくなる傾向があります。

<コメント>
卵巣反応不良の方では、「採卵はできても移植までたどり着けない」という悩みが少なくありません。

今回の研究では、治療前からコエンザイムQ10を摂取することで、胚移植キャンセル率が36.0%から14.0%まで低下していました。採卵数だけでなく、成熟卵子数や受精卵数も改善していたことから、コエンザイムQ10が卵子の成熟や受精、胚の発育に良い影響を与えている可能性が考えられます。なお、本研究で使用されたコエンザイムQ10は酸化型と考えられます。