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脂質・あぶらシリーズ (その1)油の重要性と必要性

白井 由紀

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「油をとると太る」「油をとると血管に良くない」などど、油に悪者のイメージを持っていませんか?油は決して悪者ではありません。むしろ非常に重要で必要な栄養素なのです。油を上手に活かして健康につなげましょう。

油ってなに?

油は人間にとって大切な3大栄養素のうちのひとつ「脂質」の供給源です。「脂質」は実は、体の細胞膜の構成成分であり、とても重要なのです。また、脂溶性ビタミン(A、D、E、K)の吸収を助ける働きや、性ホルモン、ビタミンDの前駆体ともなります。その上、私たちの体のとても効率的なエネルギー源でもあるのです。 

油が不足すると?

まず、油は細胞膜を構成する成分となるので、不足すると細胞膜の正常な働きが維持できず、生体機能の全般的な低下をもたらします。また、脂溶性ビタミン(特にビタミンAやビタミンE)の吸収が悪くなります。具体的な症状としては、免疫力低下、炎症、肌荒れや肌の乾燥、といった影響が挙げられます。
しかし、とり過ぎも良くありません。1日の適正量は45~65g。そのうち「お勧めの油」「注意する油」「避ける方が良い油」があるので、油の種類を知り、どの油をとればよいかを知っておくと良いでしょう。

お勧めの油

まずは、EPA、DHA(青魚類の油)、エゴマ油、アマニ油などに含まれるn-3系脂肪酸。細胞膜をやわらかくして、血管は柔軟に、神経細胞は活性化する効果があります。それと、ココナッツオイル、MCTオイルに含まれる中鎖脂肪酸です。抗酸化・抗炎症・免疫力強化作用があります。そしてオリーブオイル、ヘーゼルナッツオイル(はしばみ油)などに含まれるn-9系脂肪酸。n-3系脂肪酸と同様に抗酸化・抗炎症作用、また、腸の働きを高める効果もあります。

注意する油

サラダ油などに含まれるn-6系脂肪酸。必須脂肪酸ではありますが炎症作用があり、摂り過ぎると血管が詰まりやすくなります。現代人は過剰に摂り過ぎている傾向があるので注意が必要です。 

避けた方が良い油

マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングといった工業産生のトランス脂肪酸を多く含むもの。それらを原材料に使ったパン、ケーキ、ドーナツなどの洋菓子、揚げ物などは避けた方が良いでしょう。トランス脂肪酸は工業的に作られた油で、代謝されにくいため、ビタミンやミネラルを必要以上に消費し、細胞膜を硬くする作用があります。アメリカやカナダなどでは、トランス脂肪酸の使用が「規制」され、世界保健機構(WHO)では、マーガリンなどに含まれる「人工のトランス脂肪酸」を2023年までに世界の食品から排除することを目指すともしているのです。 
※記載した摂取適正量、基準量は、いずれも性別、年齢、身体活動レベルにより異なります
参考文献 
1)菱田明・佐々木敏(2017)「日本人の食事摂取基準(2015年版)」第一出版
2)すぐにわかるトランス脂肪酸 農林水産省ホームページ 更新日:2018年11月28日 
3) WHO(2018/4/5) [Draft thirteenth general progyamme of work 2019-2013 ]