ビタミン 食生活 (栄養)

葉酸は男性の妊活にも重要!? ED対策に葉酸を

小浦ゆきえ

葉酸は妊活中の女性にとって大切だけど…

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ビタミンB群の1種である葉酸は、新しい細胞を作るときに大切な働きをしています。「赤ちゃんの神経管閉鎖障害の予防」という効果もあるので、妊活中の女性にとっては必須のビタミンとして知られていますよね。
最近、そんな葉酸が、男性の勃起にも影響しているかもしれないという研究結果が報告されました(原著論文 日本語記事  )。
いったいどういう仕組みで、どのくらい影響しているのでしょう。


葉酸不足と勃起障害

男性のEDに対する葉酸投与の効果を報告した論文はこれまでにもあって、ED治療薬の効果が出にくい男性に対するビタミンB6と葉酸併用による改善効果 (原著論文)や、ED治療薬の効果が表れにくい二型糖尿病の男性に対して葉酸を併用することによる効果(原著論文)などが報告されています。これらの論文に共通するキーワードとして登場するのが「ホモシステイン」という言葉です。

「ホモシステイン」はアミノ酸の1種で、必須アミノ酸であるメチオニンを代謝する途中で作られるものです。通常、メチオニンはホモシステインを経てL-システインなど他のアミノ酸に変換されたり、肝臓で再びメチオニンに変換されたりして、ホモシステインの血中濃度は一定に保たれています。ただ、色々な要因で処理が追いつかなくなると、ホモシステインの血中濃度が上がってしまいます。最近の研究で、体内のホモシステインの濃度が高くなると、動脈硬化や血栓のリスクが高くなることがわかってきています。

動脈硬化がおこると、動脈の伸縮性が失われます。勃起は陰茎の動脈が大きく拡張することによっておこるので、動脈が広がりにくい=勃起しにくいということになるのです。

今回報告された結果は、EDの男性は健康な男性に比べて血液中の葉酸濃度が低く、重症な人ほどより低くなる傾向があるというものでした。
ホモシステインが高くなる要因として知られているのが、加齢、ホモシステインを処理するための栄養素(ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸など)の不足、喫煙などの生活習慣、肝臓の機能低下などです。葉酸は、ホモシステインを処理するうえで大切な栄養素ですが、不足気味の人が多い栄養素でもあります。
今回はトルコでの調査でしたが、同じような結果が昨年中国でも報告されています(原著論文)。中国の調査では、EDだけでなく早漏についても葉酸の血中濃度が低めであるという結果でした。穀類への葉酸添加政策が行われている国(アメリカなど)では、普段の食事で葉酸が補充されているので、同じ調査を行っても結果は違ってくると考えられます。

血液中の葉酸濃度は、食事の内容にも左右されますが、実は遺伝子欠損によっても大きく左右されることがわかっています(日本人の葉酸代謝遺伝子欠損の割合は約15%)。女性の場合、それによって子供の先天障害に影響するため、摂取が推奨されています。男性のEDと葉酸代謝遺伝子欠損の関係はまだ明らかになっていませんが、EDや早漏など、男性機能にお悩みがある場合、葉酸を試してみるのも良さそうです。

個人的には、葉酸単独のサプリメントよりも、疲労回復やメンタルケアにもなるビタミンB群をまとめて摂れる「ビタミンB群(ビタミンBコンプレッックス)や「マルチビタミン」がおすすめです。