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妊活中の鉄分補給は慎重に。鉄分過剰で妊娠糖尿病のリスクが上がるかも⁉

小浦ゆきえ

「鉄」は妊活に大切な栄養素

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鉄は、酸素の運び役であるヘモグロビンを作るのに欠かせないミネラル。女性は月経で排泄してしまう+男性より食事でとる量が少ないため、貧血になるリスクが高いのです。著書「男と女の子宝サプリ」でも書きましたが、実際、不妊治療を受けている女性には貧血の方が多そうです。

鉄は、ヘモグロビン(赤血球)の材料となり、体全体に酸素を届けるのに必要なミネラルです。ヘモグロビンの中にあるもの以外の鉄は、フェリチンという形(タンパク質に覆われた状態)で保管されています。鉄は元々酸化させる力の強いミネラル。フェリチンは、周りの細胞を傷つけないようカバーを着けた状態の鉄だといえます。
必要以上の鉄をとり続けると、カバーが足りなくなり、余った鉄がカバーを着けないまま血液中に流れ出てしまいます。

新たにわかった鉄過剰のリスクとは?

体を維持するうえで欠かせない鉄ですが、余ってしまうとその強い酸化力で体を傷つけてしまいます。良く知られているのが、鉄の貯蔵器官である肝臓のダメージや、血液中に流れ出した鉄による血管へのダメージ。
さらに、今回、妊娠糖尿病のリスクを高めるかもしれないという報告も出てきました。

参考:LINK de DIET 高い鉄レベルは妊娠糖尿病のリスクを高める!?
「その結果、ヘプシジン*1とフェリチン*2が妊娠中期に最も高い25%に含まれた妊婦は、妊娠糖尿病を発症するリスクが、最も低い25%の妊婦と比べて、2.5倍高かったことが明らかになった。どうようのことが妊娠初期のフェリチンについても観察されたという。」

*1 ヘプシジン=鉄の吸収を抑えるホルモン
*2 フェリチン=鉄を含んだタンパク質。貯蔵鉄

フェリチンが高い(=貯蔵鉄が多い)とということは、貯蔵容量を超えるような量の鉄を摂ってしまっているということです。この調査では、過剰の原因が食事なのか薬やサプリメントなのかはわかりませんが、せっせと摂った鉄も、度が過ぎればデメリットが大きくなってしまうということです。

鉄過剰、こんな人は要注意!

最初に書いたように、貧血は不妊の原因にもなるので、鉄不足による貧血であれば薬やサプリメントで鉄を補うことをおすすめします。
ただ、次の項目にすべて当てはまる人は鉄分過剰に注意が必要です。

・元々貧血でない(ヘモグロビン+フェリチンの検査をしておけば確実)
・出産経験なし
・鉄を含んだサプリメントを半年以上摂っている 又は レバーが大好きで頻繁に食べている
・現時点で妊娠していない

もちろん、摂っているサプリメントの量にもよりますが、不足や摂りすぎが心配な時は血液検査のついでに「フェリチン(貯蔵鉄)」の量も計ってもらいましょう。
+1,000~3,000円程度の費用がかかりますが、知らずに失敗する方が時間とお金のムダですからね。

貧血で鉄剤を飲んでいる方の中に、稀にですが、「ヘモグロビンは低いのにフェリチンは高い」という方がいます。その場合、「鉄不足による貧血」ではなく、ヘモグロビンを作るためのビタミン(ビタミンB群)やタンパク質が不足している可能性があります。残念ながら、栄養学の知識の少ないドクターもいて、フェリチンを測らずに鉄剤を出し続けてしまう場合もあるので、ご注意を。

いずれにしろ、鉄剤や鉄サプリは、定期的に血液検査(ヘモグロビン+フェリチン)をしながら利用しましょう。