ビタミン 母児の健康

葉酸サプリを選ぶなら 天然か?合成か?

小浦ゆきえ

どうしても足りないなら…から始まる 葉酸サプリメント選び

できることなら、サプリメントに頼らずに、自然な形(食事)でしっかり栄養を摂りたい……。
でも、それが難しい時、どんな選択肢があるのかしっかり知っておくことも大切です。今回は、食事だけで十分にとることが難しい「葉酸」について、サプリメントの原料と、その特徴を紹介します。
29064834_99A [更新済み]

根強い 「天然」信仰

食事でとれないものを補うにしても、「できるだけ天然に近い形が良い」という気持ちからか、葉酸のサプリメントについても「天然葉酸」を探し求めるプレママが多いようです。
しかし、店頭で探してみてもインターネットで検索してみても、本物の天然由来葉酸を含んだサプリメントはほとんどありません。それには2つの理由があります。


天然由来の葉酸は吸収率が高くない

天然由来の葉酸は、吸収率があまり高くありません。食事由来の葉酸の場合、吸収率は合成葉酸の半分程度といわれています。妊娠計画中~妊娠初期の目安量である「サプリメントで1日400μg」というのは、吸収率の高い合成葉酸を前提にした量です。天然葉酸を配合した製品の場合、その倍となる800μg程度摂らなければならないだろうと考えられています。
天然由来葉酸の原料としてはレモン果皮由来のものなどがありますが、原料自体が国内に入ってきていないので、天然葉酸の国内製造サプリメントは存在していません。もし利用する場合、天然葉酸の吸収率を考慮して800μgを目安にしてみましょう。(原料が高い×必要な量が増える=ある程度コストがかかってしまいます)

神経管閉鎖障害の予防効果は、合成葉酸で確認された

神経管閉鎖障害を予防する効果について、医学的に検証されていますが、これらの実験では合成葉酸が使用されています。合成の葉酸でも、大手のしっかりした原料メーカーは、体内できちんと働くL型葉酸を作っています。また、先日紹介した遺伝的に葉酸の代謝能力が低い人でも、合成葉酸を400~1,000μg補給しておけば、体内の葉酸レベルを上げられることがわかっています。処方薬として登録されている葉酸は、合成葉酸5,000μgという規格です。

もちろん、こだわりのある方は天然にこだわっても良いと思います。ただ個人的には、合成でも十分に効果が得られ、1,000μg程度までは危険性は報告されていない+安価なので、「合成で十分」だと思います。

ちなみに、合成葉酸の場合、パッケージに書かれている原材料に、「葉酸」もしくは「葉酸含有酵母」と書かれています。葉酸含有酵母は、酵母自体が葉酸を作ってくれるわけではなく、培養液に合成葉酸を加えて培養した酵母のことです。
海外では、葉酸の代謝酵素のお世話にならなくても体の中ですぐに働ける形の5MTH(5メチルテトラヒドロ)葉酸がサプリメントの原料として認められています。これについては、合成で作られるものと、酵母が発酵で作ってくれるものがあります。日本でも添加物として認可されれば、新しい葉酸サプリが登場するかもしれませんね。