母児の健康

体外受精を受ける女性患者への鍼治療の出産率への効果

細川忠宏

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体外受精胚移植を受ける女性患者への鍼治療は治療成績の改善に寄与しないことがオーストラリアとニュージーランドで実施された無作為比較対照試験であきらかになりました。

西シドニー大学の研究者らは、オーストラリアとニュージーランドの16のIVFセンターで2011年6月から2015年10月に体外受精を受けた848名の女性(18〜42歳)を無作為に鍼治療を受けるグループと偽鍼治療を受けるグループにわけ、卵巣刺激開始6日から8日の間と胚移植日に施術を受け、新鮮胚移植後の出産に至った割合を比較しました。

809名のうち607名が胚移植に進み、鍼治療を受けた405名で74名(18.3)、偽鍼治療を受けた404名のうち72名(17.8%)が出産に至りました。

両グループ間に統計学的に有意な差は認められず、鍼治療は体外受精の新鮮胚移植による出産率に寄与しませんでした。

これまで鍼治療の体外受精の治療成績への有効性を検討した研究は数多く実施されており、有効性が示唆された研究もありますが、無作為比較対照試験が実施されるようになり、それらを統合したメタ解析では妊娠率や出産率で有意な差は出ていません。

ところが、それらの研究では被験者数が少なかったり、鍼治療の治療内容のバラツキがあったことから、今回の他施設の無作為比較対照試験が行われました。

結果は鍼治療と偽鍼治療の間で出産まで至った割合に差はありませんでした。

鍼治療の方法や実施時期や回数を変えて効果を検証する必要があります。