母児の健康

貯めておける栄養と貯めておけない栄養

小浦ゆきえ

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今回は、基本の栄養学とはちょっと違った視点で、ビタミン・ミネラルを紹介したいと思います。 

栄養素の分類と言うと、食事摂取基準などで使われている分類方法が最も良く知られています。ビタミンは、水に溶ける「水溶性ビタミン」と、水にとけない「脂溶性ビタミン」。ミネラルは、体の中に沢山ある「多量ミネラル」と少しだけ存在する「微量ミネラル」という分類です。





栄養素を分類するという点では、これがスタンダードな方法です。
ただ、普段の食事やサプリメントで栄養補給を考える時、ちょっと違った視点が役に立つかもしれません。それは、「貯めておけるか・貯めておけないか」ということです。 

貯めておける栄養素

脂溶性ビタミン:ビタミンA(肝臓に貯蔵)、ビタミンD(脂肪に貯蔵)、ビタミンE(脂肪に貯蔵) 
多量ミネラル:カルシウム(骨に貯蔵)、マグネシウム(骨に貯蔵)、ナトリウム(骨に貯蔵)、リン(骨に貯蔵) 
微量ミネラル:鉄(肝臓に貯蔵)、銅(肝臓に貯蔵)など

脂肪に蓄積される栄養素は、脂肪の量によって貯蔵できる量が違ってきます。ですから、痩せている人は、貯めておける量が少なくなります。私たちの体にも、貯めておける容量や、消化・吸収できるリミットがあります。それを超えるほど沢山摂ると、過剰症や吸収不良(下痢など)をおこす場合があります。(ちなみに、ビタミンEは過剰症の報告はありません) 

貯めておけない栄養

水溶性ビタミン:ビタミンB群とビタミンC、ビタミンK
微量ミネラル:亜鉛

水溶性ビタミンは、必要以上に摂ってもすぐに排泄されるため、摂り過ぎの心配がほとんどない栄養素としても有名です。そして、亜鉛は、体内に貯めておく仕組みがなく、亜鉛に関しては、必要度に応じて腸からの吸収率を変化させるという機能を持っています。 
貯めておける栄養素は、普段の生活で足りているなら、数日摂らなくても不足することはありません。一方、貯めておけない栄養素は、短期間の不足でも影響が表れやすいものです。ですから、毎日摂り続けることが大切になってきます。

おまけとして、「体内で作れる栄養素」を紹介しておきます。ビタミン・ミネラルは、「体を維持するための必須の栄養素」と定義されているので、「食事で摂らないといけない」と思われているかもしれません。でも、ビタミンDは肌が紫外線を浴びることで合成されます。また、ビタミンKは腸内細菌や納豆菌の働きで、腸で作られます。ですから、日光浴や納豆を食べることで補うことができるのです。ちなみに、人間にはできませんが、ラットやウサギは体内でビタミンCを合成できたりします。
同じ哺乳類でも、持っている酵素の差でこういった違いがあるようです。不思議ですよね。  

<文:健康食品アナリスト 小浦ゆきえ> 著書「男と女の子宝サプリ