不妊の原因になる病気 食生活 (栄養)

アスタキサンチンは、PCOS女性のインスリン抵抗性や脂質代謝異常の改善に有効か?

細川忠宏

AdobeStock_333365732_Preview
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の女性のうち、多くがインスリン抵抗性や脂質代謝の異常を抱えていることが報告されており、アスタキサンチンがこれらの改善に効果があるとされています。
この研究は、アスタキサンチンサプリメントの服用によって、不妊PCOS女性のインスリン代謝、血液中の脂質、さらには酸化ストレスが改善されたことを示しています。

アスタキサンチンは、微生物や魚介類に含まれるカロテノイド化合物で、PCOS患者に対してさまざまな治療効果が期待されています。

この研究は、不妊PCOS患者におけるアスタキサンチンの効果を調べることを目的とし、PCOSと診断された18~40歳の不妊女性58人を対象に行われました。

参加者はランダムに2つのグループに分けられ、1つのグループはアスタキサンチン6mgを1日に2粒、もう一方のグループはプラセボ(偽)のサプリメントを8週間にわたり服用し、空腹時のインスリンと血糖、酸化ストレスマーカー、脂質プロファイル*、インスリン抵抗性、血圧を、服用前後で比較しました。

今回の研究の結果、アスタキサンチンを摂取することによって、空腹時の血糖値や血中インスリン値、酸化ストレスの一部のマーカーが低下したことがわかりました。その一方で、酸化ストレスマーカーの一部では増加がみられたものもありました。

全体としては、アスタキサンチンは不妊PCOS患者のインスリン代謝、脂質代謝の異常や酸化ストレスを改善する、有効で安全なサプリメントと考えられます。

*) 血液中の総コレステロール値、LDLコレステロール値、HDLコレステロール値、中性脂肪値をまとめたもの


<コメント>
PCOS患者の多くがインスリンや脂質に関する異常を示すとされていますが、この研究で計測・算出された各数値は一般的な範囲から若干外れていたものもあり、個人差も大きかったようです。
そのようなことから、今回の結果だけで明確な結論を導くことは難しいかもしれませんが、本研究の結果はアスタキサンチンの有用性を示すものと考えられます。

これはPCOS患者だけでなく、生活習慣病の予防にも役立つかもしれません。
体外受精を予定しているPCOS患者を対象にした研究結果も期待されます。

アスタキサンチンは、鮭やエビ、カニなどに多く含まれます。