妊娠中の食事と生まれた子供の成長
妊娠中の食事が健康的であると、新生児のLGA(出生時の体格が在胎期間に比してかなり大きい児)リスクが低下し、生まれた子供がより健康な成長軌道で成長する確率が高まることが明らかになっています。
妊娠中の食事の質は赤ちゃんの生まれた時のサイズだけではなく、より長期的な成長にも関連している可能性がさまざまな研究によりわかっています。
今回アメリカで行われた研究では、妊娠中の母親の食事と生まれた子供の体重、および生まれてから24ヶ月までの子供の成長の関係を調べました。母親の食事については米国農務省の食事ガイドラインに準拠した健康的な食事パターン(HEI)と食事の炎症促進性をはかる指標である食事パターン(EDIP)の2つの指標から評価しました。
子供の健康と発達に対する環境因子の影響を調査する研究プログラム「ECHOコンソーシアム」に参加している2,854組の親子を対象とし、妊娠期間中の母親に食事に関するアンケートを実施しました。その後生まれた子供に対し、出生体重、出生後6、12、24ヶ月までの子供の成長との関連を調査しました。
その結果、健康的な食事パターンの指標であるHEIスコアが高い母親から生まれた子供は、LGAのリスクが低く、生まれてから6ヶ月および24ヶ月までに急速な成長(体重が標準よりも急速に増えすぎる)のリスクも低いことが分かりました。
一方でHEIスコアが低い母親から生まれた子供は生まれてから6、12、24ヶ月までの成長速度が遅いことがわかりました。
食事の炎症度合いの指標であるEDIPスコアが低い母親から生まれた子供は、LGAおよび6,12ヶ月までの急速な成長のリスクが低いことが分かりました。
またHEIやEDIPの値は、在胎週数に比して小さく生まれるSGAとの関連はみられませんでした。
米国食事ガイドラインに即した妊娠中の食事が、肥満のリスク因子として知られる急速な成長と遅い成長パターンと関連していることが明らかとなり、今後、妊娠中の食事改善が子どもの成長軌道の改善にも有効かどうかを検証する必要があると結論づけています。
<コメント>
この研究により、妊娠中の食事が健康的であり炎症を促進する度合いが低いほど、生まれた子供の出生体重や長期的な成長においてもよい影響がある可能性が示されています。
今回の研究で使われた2つの食事パターンを簡単に紹介します。
【HEI:米国農務省の食事ガイドラインに準拠した健康的な食事パターン】
・スコアがプラスとなる食品:果物、果物ジュース、野菜、豆類、全粒穀物、乳製品、タンパク質(赤身肉、精製肉、魚介類、大豆食品)、不飽和脂肪酸
・スコアがマイナスとなる食品:精製穀物、塩分、砂糖、飽和脂肪酸
【EDIP:食事の炎症誘発性を反映するために開発された指標である経験的食事炎症パターン】
・スコアがプラスとなる食品:ビール、ワイン、茶、コーヒー、赤色や黄色の根菜(サツマイモを含む)、色の濃い葉野菜 、間食(スナック)、100%果汁のジュース、ピザ
・スコアがマイナスとなる食品:加工肉、赤身肉、内臓肉、魚肉(イワシ・サバ・メカジキ・サーモンを除く)、淡色野菜、トマト、精白穀物、糖類や人工甘味料を含有する清涼飲料水
妊娠する前の食生活や妊娠中の食事についてはさまざまな研究がなされています。
母親自身にとっても、将来生まれるお子さんにとってもバランスよく食べ、加工度、精製度の低い食品を意識して選ぶことが大切かもしれません。

