食生活 (栄養)

男性の食事パターンと精液検査結果との関係

細川忠宏

150704
食事パターンが地中海ダイエットに近いほど精子濃度や総精子数、運動率が良好であることが、ギリシャで実施された試験で明らかになりました。 

ハロコピオ大学の研究チームは、アテネのクリニックで体外受精を受けているカップルの男性パートナー71名に食事摂取頻度調査票に回答してもらい、普段の食事パターンがどれだけ地中海ダイエットスタイルに近いかをスコア化(0〜55)し、精液検査結果との関係を調べました。 

その結果、平均のスコアは29.6±7.4で、スコアが高いほど総精子数や精子濃度、運動率、前進精子運動率が良好で、スコアで3つのグループに分けたところ、最もスコアの高いグループの男性は最も低いグループの男性に比べ平均の総精子数や精子濃度、運動率、前進精子運動率が高いことがわかりました。ただし、正常精子形態率や精液量とは関連しませんでした。 

このことから、男性の食事パターンの地中海ダイエット度が高いほど、総精子数や精子濃度、精子運動率がよいことがわかりました。 

そもそも、毎日の2~3回の食事をバランスよく食べることは健康を維持するために重要ですが、精子の健康にとっても全く例外ではなさそうです。 

地中海式ダイエットとは、地中海沿岸地方の伝統的な食事法のことで、毎日、野菜や果物、精製していない全粒穀物、乳製品、オリーブ油、特に、野菜や果物はできるだけたくさん食べます。また、週に数回、卵、魚介類および鶏肉などの家禽類、豆類、ナッツ類や種子類、イモ類を食べ、最近の研究によれば、魚はたくさん食べたほうが良いとされています。 

*地中海ダイエット 
比較的たくさん摂る →→→ 果物、野菜、豆 
中くらいに摂る   →→→ 魚 
中から少なめに摂る →→→ 乳製品 
少なめに摂る    →→→ 肉類(牛、豚、鶏肉) 

地中海ダイエットスタイルを続けると、将来、心臓病やがん、アルツハイマーにかかるリスクが低くなることが、これまで多くの疫学研究で確かめられています。 

今回の研究では、男性の精子の質がよいという結果でしたが、これまで女性の生殖機能についても多くの報告があります。

地中海式ダイエットに忠実な食生活のカップルほど、不妊症のリスクが低いというだけでなく、子の神経管閉鎖障害(脊髄の異常)や口唇口蓋裂などの先天異常、さらには、小児ぜんそくなどのアレルギーの発症リスクが低いとの報告が多数なされています。