食生活 (栄養)

食生活パターンによって子宮内の栄養環境が変化する

細川忠宏

20150417
ヒトの子宮液の18種類のアミノ酸の量に影響を及ぼすのは食事内容だけであることがイギリスで実施された研究であきらかになりました。 

イギリスのサウサンプトン大学の研究チームは、妊娠がスタートするときに、なにが胚の栄養環境に影響を及ぼすのかを調べるために、子宮液のアミノ酸量と年齢やBMI、月経周期、疾患、そして、食生活との関係を解析しました。

婦人科系手術や子宮卵管造影検査に予約を入れている18〜45歳の56名の女性の子宮分泌液を吸引、採取した子宮液と血液中の18種類のアミノ酸の量を測定し、年齢やBMI、月経周期、疾患、そして、食物摂取頻度調査票による食生活パターンとの関連を調べたところ、食生活パターンのみ関連し、それ以外は関連はみられませんでした。 

新鮮な野菜や果物、全粒穀物、そして、魚を多く食べ、赤身や加工肉、高脂肪の乳製品は控え目に食べる健康的な食生活パターンから遠いほど、アスパラギンやヒスチジン、セリン、グルタミン、バリン、フェニルアラニン、イソロイシン、ロイシンの量が多くなりました。ただし、子宮液中と血液中のアミノ酸量は関連しませんでした。 

このことから、胚の成育の栄養環境は食生活パターンに影響を受けることがわかりました。

タンパク質は胚や胎児のからだになり、ホルモンや酵素の材料になります。そのタンパク質はアミノ酸でできていますので、子宮液のアミノ酸の量は胚や胎児の栄養環境になります。 

妊娠前からの子宮内の栄養環境は赤ちゃんの成長だけでなく、出生後の体質にまで影響を及ぼすことが、最近の研究で明らかになっていますので、年齢やBMI、疾患に関係なく、食事内容だけが子宮液のアミノ酸量を変えることが確かめられたことで、「バランスよく食べる」ことの大切さがあらためて示されました。

*文献:Human Reproduction