レスベラトロールが卵巣刺激に対する反応を改善する可能性
35歳以上の不妊女性がレスベラトロールのサプリメントを3ヶ月間摂取することで、卵巣刺激に対する反応を改善する可能性があることが示されました。
レスベラトロールはブドウの皮などの植物に含まれるポリフェノールの一種で、これまで多くの研究により抗酸化、抗炎症、抗腫瘍作用があることが確認されています。
不妊治療中の女性に対する研究では、成熟卵の数や受精率、胚盤胞の数を増加させることが報告されています。
今回イタリアのグループは、レスベラトロールがFSH(卵胞刺激ホルモン)に対する卵巣の反応を改善することで、不妊治療の成績に寄与するのではないかとの仮説のものと、試験を行いました。
この研究は2019年1月から2022年12月までナポリ大学IVFユニットで実施されました。AMHが1.2ng/mL以上で35歳以上の不妊患者70名をランダムに2グループに分け、不妊治療開始前の3ヶ月間、一方のグループにはレスベラトロールを1日に150mg、もう一方のグループにはプラセボ(偽の粒)を飲んでもらい、治療成績を比較しました。
その結果、卵胞刺激に対する反応性*は、プラセボ群に比べてレスベラトロール群で高いことが分かりました。
ただし採卵数や妊娠率、生児獲得率では差はみられなかったとのことです。
結論として、35歳以上の不妊女性では、治療開始前3ヶ月間にレスベラトロールを摂取することで、FSHに対する卵巣感受性を改善する可能性があることが分かりました。
*研究では卵巣刺激に対する反応性の指標であるFORT (卵巣刺激後の発育卵胞数/刺激前の胞状卵胞数)およびFOI(採卵数/刺激前の胞状卵胞数)で差が確認されました。
<コメント>
レスベラトロールを含むポリフェノールは5000種類以上あると言われ、代表的なものに赤ワインやブルーベリーのアントシアニン、トマトのリコペン、大豆などのイソフラボン、茶の渋み成分のカテキン類、柿の渋み成分のタンニンなどがあります。
ポリフェノールは活性酸素などの有害物質を無害に買える抗酸化作用が強いことが特徴です。これは植物が紫外線などの環境ダメージから身を守るシステムとしてポリフェノールを作り、蓄えているためと考えられます。
ポリフェノールはほとんどの野菜や果物に含まれています。また水に溶けやすい性質があり、比較的短時間で作用するものの、長時間の効果は期待できません。毎日こまめに、さまざまな種類の野菜や果物を食べることが大事です。