睡眠と原因不明不妊の関係
睡眠の質の低下やカップル間の睡眠リズムの不一致と原因不明の不妊症との関連性が示されました。
近年、睡眠の質や睡眠障害が生殖機能に影響する可能性が報告されていますが、エビデンスは限られていました。
そこでフランスの研究グループは、主観的睡眠パラメータ(本人の自覚に基づいて評価される睡眠の質や特徴を示す指標)と原因不明不妊症との関連を検討するべく、2009年9月から2013年12月にかけて複数の施設を対象に症例対照研究を実施しました。
研究は、32.6 ± 4.4歳(平均 ± 標準偏差)の不妊男性94名とそうではない男性85名、不妊女性95名とそうではない女性86名の合計360名を対象に行われました。
参加者は睡眠を評価する質問票に回答し、睡眠日誌を記入。就寝・起床時刻や入眠潜時(ベッドに入ってから実際に眠りにつくまでの時間)等の睡眠習慣、クロノタイプ(朝型/夜型)、不眠症や睡眠時無呼吸症候群、過眠症、周期性四肢運動症候群様症状(睡眠中に手足が周期的にピクピクと不随意に動く症状)等の睡眠障害症状を評価し、睡眠の質や睡眠障害と不妊症の関連を検討しました。
その結果、以下のことが分かりました。
・不妊男性はそうではない男性参加者と比べて就寝時間が有意に遅く、主観的睡眠の質が低く、ベッドに入ってから実際に眠りにつくまでの時間が長かった。
・不妊女性はそうではない女性と比べて起床時間が有意に遅く、ベッドに入ってから実際に眠りにつくまでの時間が長く、睡眠時無呼吸症候群の症状が有意に多かった。
・パートナー間の起床時間の差は不妊カップルにおいて有意に大きく、不妊ではないカップルは、不妊カップルと比べて中程度の朝型傾向を示す頻度が高かった。さらに、不妊カップルはそうではないカップルと比べてクロノタイプ(朝型/夜型)が異なる頻度も高かった。
・睡眠の質は、不妊カップルが不妊ではないカップルと比べて低かった。
原因不明の不妊は、睡眠の質の低下やクロノタイプの不一致、睡眠時無呼吸症候群症状と有意に関連していることがわかりました。一方、総睡眠時間と不妊の関連は認められませんでした。
この研究で、睡眠の質の悪さと、カップル間で異なるクロノタイプは、男女の生殖能力と関連している可能性があることがわかったことから、不妊治療において睡眠の評価を組み込むことが有用である可能性が示唆されました。
〈コメント〉
本研究では不妊症の男女とそうではない男女の睡眠の質や睡眠関連障害が比較され、原因不明不妊症と睡眠の質の低下、異なる睡眠リズム、睡眠時無呼吸症候群との関連性が認められました。
本研究では不妊症の男女とそうではない男女の睡眠の質や睡眠関連障害が比較され、原因不明不妊症と睡眠の質の低下、異なる睡眠リズム、睡眠時無呼吸症候群との関連性が認められました。
これにより、不妊症検査において睡眠障害の評価を受ける意義がある可能性が示唆されました。
睡眠障害と不妊症には共通の原因が存在し、これらが健康全般に悪影響を及ぼしている可能性があります。
原因不明不妊症のカップルにおいて、睡眠とライフスタイルの見直しは不妊症の治療に役立つかもしれません。

