不妊の原因になる病気 食生活 (栄養)

大豆食品の摂取と子宮内膜症リスクとの関連

細川忠宏

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大豆食品の適度な摂取が子宮内膜症リスクの低下に関連することが、ハーバード大学による研究により示唆されています。

子宮内膜症は月経痛や慢性的な骨盤痛、不妊の原因にもなり得る疾患として知られています。また子宮内膜症はエストロゲンというホルモンの影響を強く受ける「エストロゲン依存性疾患」です。そのため、エストロゲンに似た作用をもつ植物性エストロゲン、特に大豆に含まれるイソフラボンが子宮内膜症に及ぼす影響についてはこれまで多くの研究が行われてきました。

この研究では、アメリカで長年続けられている研究「Nurses’ Health Study II(NHS II)」のデータを用いて、大豆食品の摂取量と子宮内膜症との関連が調査されました。NHS IIは、看護師を対象に生活習慣や食事、病気の発症などを長期間追跡してきた信頼性の高い研究として知られています。

1991年に27〜44歳だった閉経前の女性看護師82,000人以上を対象に、約30年にわたる追跡が行われました。参加者は4年ごとに食事に関するアンケートに回答し、大豆食品やイソフラボンの摂取量が評価されました。また子宮内膜症と診断されたかどうかが2年ごとに確認されました。

調査の結果、参加者のうち3,829人の女性が追跡期間中に子宮内膜症と診断され、大豆食品の摂取量が多い人ほど、子宮内膜症の発症リスクが低い傾向にあることが分かりました。具体的には、大豆食品を週に1サービング*多く摂取するごとに、子宮内膜症のリスクが約8%低下していました。

また不妊症の女性とそうでない女性に分けて調べたところ、不妊症と診断されていない女性では大豆食品の摂取量と子宮内膜症発症リスクは明確に関連していましたが、不妊症の女性では明確には関連が見られませんでした。 

また、大豆製品の摂取量をイソフラボン量に換算し、詳しく調べたところ、イソフラボン量が多ければ多いほど良い、という単純なものではないことも示されました。1日あたり約4mgまでの範囲では、摂取量が増えるほど子宮内膜症リスクが低下する傾向がありましたが、それ以上では効果が頭打ち状態になることが示されました。

以上の結果より、大豆食品の摂取は子宮内膜症のリスク低下と関連することが示されました。

*この研究では「1サービング」という標準量を基準に評価が行われました。一般的に大豆食品の1サービングとは、豆腐ではおよそ半丁(約100g)、納豆で1パック(40-50g)、豆乳でコップ1杯(約200ml)、枝豆では小鉢1杯分程度とされています。

<コメント>
この研究から、大豆製品を適度に摂取する食習慣が、子宮内膜症の発症リスク低下と関連している可能性が示唆されました。特に、欧米の一般的な食生活の中でも無理なく取り入れられる範囲の大豆摂取で効果が見られた点は、実生活に応用しやすい重要なポイントと言えるでしょう。

ただし、研究の結果にもある通り、大豆製品をたくさん食べれば食べるほど良い、という結果ではありませんでした。研究ではイソフラボン量が4mgになる前後で子宮内膜症リスクとの関連がみられなくなりましたが、この量は一般的な豆腐で20g前後(1-2口分程度)、納豆では約5-6g(小さじ1杯程度)と、非常に少ない量であることから、大豆食品の大量摂取を勧める結果ではありませんでした。

普段大豆製品を摂る習慣がまったくない場合には、摂りやすい大豆食品から取り入れてみるのも良いかもしれません。