アンチエイジング

週1~2回の運動習慣と不妊治療成績との関連

細川忠宏

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不妊治療を受けた2,576人の女性を調べた研究で、週1~2回程度の運動習慣がある女性では、運動習慣がない女性に比べて、採卵後の妊娠率や出産率が高いことが報告されました。

適度な運動は健康維持に役立つことが知られていますが、不妊治療の成績との関係については、これまでの研究で必ずしも一致した結果が得られていません。そこで今回、スイスの医療機関で2000~2021年に生殖補助医療(ART)を受けた女性2,576名、計6,850治療周期のデータを用いて、治療開始前の運動習慣と治療成績との関連が調べられました。

研究では、初診時に回答した週あたりの運動頻度から、「運動習慣なし」「週1~2回または時々」「週3回以上または競技スポーツ」の3群に分類しました。なお、ここで調べられたのは主に運動の「頻度」であり、競技スポーツをしている女性を除いて、運動時間や激しさ、種類(筋力トレーニングや有酸素運動など)までは詳しく調べられていません。

結果として、採卵1回から得られた胚を使った治療で妊娠に至った割合は、運動習慣なし群で52.5%、週1~2回群で58.7%、週3回以上群で49.5%でした。また、出産に至った割合も、それぞれ37.2%、43.1%、37.1%で、いずれも週1~2回群で最も高くなりました。

さらに、年齢やBMI、採卵数、喫煙などの影響を考慮して解析しても、週1~2回群では運動習慣なし群と比べて妊娠に至る可能性が高く、出産に至る可能性も高いという関連が認められました。一方、週3回以上群では、週1~2回群と比べて妊娠に至る可能性が低かったものの、出産については明確な差は認められませんでした。

流産については少し異なる結果がみられました。妊娠した人のうち流産した割合は、運動習慣なし群29.1%、週1~2回群26.5%、週3回以上群24.6%でした。年齢などを考慮した解析では、週3回以上群は運動習慣なし群より流産の可能性が低いという関連が認められました。

今回の研究から、ARTを始める前に週1~2回程度の運動習慣があることは、妊娠や出産に至る可能性と良好な関連があることが示されました。ただし、この研究は過去の診療記録をさかのぼって調べた研究であり、「週1~2回運動すれば妊娠・出産しやすくなる」と因果関係が証明されたわけではありません。運動の時間や強度、種類も詳しく調べられていないため、どのような運動をどの程度行うのが適しているかについては、今後さらに研究が必要です。

<コメント>
不妊治療中には、「運動したほうがよいのか」「激しい運動は控えたほうがよいのか」と迷う方も少なくありません。今回の研究では、運動習慣がまったくない女性よりも、週1~2回程度運動している女性で良好な治療成績がみられました。

一方で、「週3回以上では運動しすぎ」という意味ではないことには注意が必要です。今回の研究では運動の頻度を中心に分類しており、ウォーキングを週3回する人と、負荷の高いトレーニングを週3回する人を十分に区別できていません。また、運動習慣は治療開始前に一度確認しただけで、採卵周期や胚移植後にどの程度運動していたかはわかりません。

そのため、「妊活には週1~2回が最適」と断定することはできませんが、運動習慣がない方にとっては、まず無理のない範囲で体を動かす習慣をつくることを考えるきっかけになる研究といえそうです。

出典:Front Endocrinol (Lausanne). 2026; 17: 1893897