不妊治療中の女性の約9割がビタミンD不足―日本の大規模研究で明らかに
日本の不妊治療施設を受診する女性の多くで、ビタミンD不足や欠乏がみられ、季節ごとの変動や肥満との関連が大規模な多施設研究で明らかになりました。
近年、ビタミンDは妊娠や出産にも関わる重要な栄養素として注目されています。一方ビタミンDの多くは食事からの摂取ではなく、日光(紫外線)を浴びることで体内で作られるため、現代の生活スタイルでは不足しやすいことが知られています。
今回、日本生殖補助医療標準化機関(JISART)に加盟する複数の施設により、実際の診療データをもとにした大規模な調査が行われました。
この研究では、不妊治療施設を受診し、血液中のビタミンD(25(OH)D)を測定した17,261人の女性が対象となりました。
血中ビタミンD濃度の季節変動や、欠乏に関連する要因を分析しました。
血中ビタミンD濃度の季節変動や、欠乏に関連する要因を分析しました。
その結果、非常に多くの女性でビタミンDが不足していることが明らかになりました。
血中ビタミンDの中央値は16.4ng/mLと低く、約3人に2人(66.8%)が「欠乏」、約9割(89.0%)が「不足」の状態にありました。つまり、十分なビタミンDを保っている女性はごく少数であることになります。
また、ビタミンDの値には季節によるはっきりとした変化がみられました。最も値が高かったのは9月、季節で見ると秋が最も高く、反対に冬は欠乏の割合が最も高くなっていました。これは日照時間の変化が影響していると考えられます。
さらに、ビタミンDの状態には生活習慣も関係していました。ビタミンDを含むサプリメントを摂取している女性では、摂取していない女性に比べて血中濃度が高く、欠乏の割合も低いことが確認されました。
一方で、体格との関係も明らかで、体重が多い(BMIが高い)ほどビタミンDが不足しやすい傾向がありました。逆に、年齢が高いほどわずかに欠乏しにくいという結果も示されています。
なお、卵巣機能の低下とビタミンDの状態との間には、はっきりとした関連は認められませんでした。
<コメント>
今回の研究は、不妊治療中の女性を対象としたものとしては非常に大規模であり、日本におけるビタミンDの実態をよく示す重要なデータといえます。
ビタミンDを補うことで実際に妊娠率や治療成績が改善するかどうかについては、まだ十分な結論が出ていませんが、ビタミンD不足は不妊治療中の女性に特有の問題ではなく、一般の女性でも同様に広くみられることが知られています。
ビタミンDの充足のためには、意識して日に当たり、また必要に応じてサプリメントでの補充も検討するとよいかもしれません。

