余暇のスクリーンタイムと子宮内膜症やPCOSなどの婦人科疾患リスクの関係
イギリスで行われた研究により、余暇に画面を見ながら座って過ごす時間が長いことが、過多月経、子宮内膜症、PCOS、子宮外妊娠のリスク上昇に関係する可能性が示されました。特に過多月経と子宮内膜症では、1日4時間以上の余暇スクリーンタイムでリスクが高まる傾向が認められました。
スマートフォンやパソコン、テレビなどを見ながら長時間座って過ごす「座位行動」は、肥満や2型糖尿病、心血管疾患など、さまざまな健康問題との関連が報告されています。
今回の研究では、英国の大規模な健康データベースであるUK Biobankに登録された欧州系の男女約46万人のデータを用いて、女性の座位行動と過多月経、子宮内膜症、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、子宮外妊娠といった婦人科疾患リスクとの関係が調べられました。
解析には、被験者自身の自己申告による座位時間と、被験者の遺伝情報が用いられました。
遺伝情報が用いられた目的は、婦人科疾患が要因となってスクリーンタイムが長くなる「逆の因果関係」を排除するためです。
遺伝情報が用いられた目的は、婦人科疾患が要因となってスクリーンタイムが長くなる「逆の因果関係」を排除するためです。
解析の結果、余暇のスクリーンタイムが1日1時間長い場合、過多月経のリスクは31%、子宮内膜症は34%、PCOSは約3倍、子宮外妊娠は35%高くなる可能性が示されました。
一方余暇ではない時間、つまり仕事中や通勤中に座る時間については、これらの婦人科疾患との明確な関連は認められませんでした。
また、余暇のスクリーンタイムと過多月経、子宮内膜症との関係を詳しく解析したところ、1日4時間以上でリスクが有意に上昇する傾向が認められました。PCOSと子宮外妊娠については症例数が限られていたため、明確な時間の境目は特定できませんでした。
さらに体格(BMI)による影響を調べたところ、PCOSとの関連にはBMIが部分的に関与していました。しかし、過多月経、子宮内膜症、子宮外妊娠との関連はBMIでは説明できず、体重増加とは別の要因が関係している可能性が示されました。
研究者らは、長時間室内で過ごすことによるビタミンD不足や慢性的な炎症などが背景にある可能性を挙げています。
<コメント>
長時間座り続けることは、運動不足とは別の健康リスクと考えられています。定期的に運動している人でも、それ以外の時間の多くを座って過ごしていれば、座位行動による影響を完全に打ち消せるとは限りません。
今回の研究で注目したいのは、職場や通勤中の座位ではなく、仕事・通勤・家事などを除いた、本人が自由に過ごす時間のスクリーンタイムに婦人科疾患との関連が認められた点です。
ただし、画面を見る行為そのものが原因なのか、長時間動かないことや、夜間の利用による睡眠への影響、間食などの関連する生活習慣が影響しているのかは、まだ明らかではありません。
「1日4時間未満」は現時点で確立された医学的な基準ではなく、今回の解析から研究者が提案した目安として捉える必要がありますが、まずはスクリーンを見る時間を少し減らし、座りっぱなしをこまめに中断することが現実的な対策といえるでしょう。

