不妊の原因になる病気

BMIが標準でも体脂肪率の高さは総精子数の少なさと関連

細川忠宏

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デンマークの若年男性1,058名を対象とした研究で、体脂肪率が高いほど総精子数が少なく、生殖に関わるホルモンのバランスにも違いがみられました。精液所見との関連はBMIや腹囲身長比よりも体脂肪率で強く、BMIが標準範囲の男性でも、体脂肪率が高いほど総精子数が少ないことが報告されています。

男性では、過体重や肥満と精液所見や生殖ホルモンの変化との関連がこれまでにも報告されています。ただし、一般的によく使われるBMIは身長と体重から算出するため、体重のうち脂肪がどの程度を占めているのかまではわかりません。たとえば、筋肉量が多い人では、体脂肪が多くなくてもBMIが高くなることがあります。

そこで今回デンマークで行われた研究では、体脂肪率に着目し、精液所見、精巣の大きさ、生殖に関わるホルモンとの関連が調べられました。また、BMIや腹囲身長比(腹囲を身長で割った値)よりも体脂肪率が男性の生殖機能との関連を捉えやすい指標なのか、またBMIが標準の男性でも体脂肪率との関連がみられるのかが検討されました。

研究では、デンマークの大規模な研究に参加していた母親から生まれた男性1,058名を対象に調査しました。参加者はいずれも18歳9か月の若い男性で、2017~2019年に体脂肪率やBMI、腹囲などを測定し、精液検査と血液検査を受けています。

体脂肪率は、8%未満、8~19%、20~24%、25%以上の4つに分けて比較されました。その結果、基準とした体脂肪率8~19%の男性と比べ、20~24%の男性では総精子数が23%少ないことが示されました。25%以上の男性でも15%少ない方向を示しましたが、数値のばらつきが大きく、このグループについては明確な差があるとは言い切れない結果でした。

また、体脂肪率を連続した数値として解析すると、体脂肪率が5.7ポイント高くなるごとに総精子数が8%少ない関連が認められました。精液量と精子濃度についても少ない傾向がみられましたが、こちらは明確な関連とはいえませんでした。一方、精子の運動性や正常な形をした精子の割合、精巣の大きさについては、全体では体脂肪率とのはっきりとした関連は確認されませんでした。

生殖に関わるホルモンにも違いがみられました。体脂肪率が5.7ポイント高くなるごとに、男性ホルモンの一つであるテストステロンは7%低く、テストステロンなどの性ホルモンを血液中で運ぶSHBGは13%低くなっていました。一方、LH(黄体形成ホルモン)やエストラジオールなどは高い傾向がみられました。つまり、体脂肪率が高い男性では、精子の産生だけでなく、生殖に関わるホルモンのバランスにも違いが生じている可能性があります。

さらに興味深いのが、BMIが18.5~24.9kg/m²の標準体重の男性だけを対象にした解析です。このグループでは、体脂肪率が5.7ポイント高くなるごとに総精子数が13%少なく、正常な形をした精子の割合も7%低い方向を示しました。総精子数との関連は、参加者全体でみられた関連よりもむしろ強くなっていました。

また、総精子数、精液量、精子濃度との関連を比較すると、BMIや腹囲身長比よりも、実際の脂肪量をより直接的に反映する体脂肪率の方が一貫して強い関連を示しました。この結果から、男性の生殖機能を考える際には、体重やBMIだけでは捉えきれない体脂肪の量も重要である可能性が示されています。

<コメント>
この研究により、BMIが標準範囲であっても、体脂肪率が高い男性では総精子数が少ないこととの関連がみられました。BMIで標準体重の場合でも体脂肪も問題ないとは限らず、BMIだけでは体の脂肪量を十分に捉えられない可能性があります。

今回の研究から「体脂肪を減らせば精子数が増える」とまでは結論づけられませんが、男性の生殖機能を考える際に、体重だけでなく体組成にも目を向ける必要があるかもしれません。