ビタミン 不妊の原因になる病気

PCOSの有無で異なるビタミンD補充とAMHの関係

細川忠宏

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複数の研究をまとめた解析で、ビタミンDサプリメント摂取後のAMH値は、PCOS女性では低下し、PCOSではない女性では上昇するという異なる変化が示されました。

AMH(抗ミュラー管ホルモン)は、卵巣にある発育途中の小さな卵胞から分泌されるホルモンで、卵巣予備能を知るための指標として不妊治療の現場でも広く用いられています。

一方、ビタミンDは骨の健康だけでなく、生殖機能にも関係している可能性が指摘されています。卵巣や子宮などにはビタミンDが作用するための受容体があり、基礎研究ではビタミンDがAMHの産生に関わる遺伝子に影響する可能性も示されています。

今回の研究では、ビタミンDとAMHの関係について、2020年2月までに発表された研究をまとめて検討しました。

条件を満たした介入研究をまとめて解析すると、ビタミンDをサプリメントから補充した後のAMHの変化は女性の排卵状態によって異なっていました。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の女性ではAMH値が有意に低下したのに対し、PCOSではなく排卵のある女性ではAMH値が有意に上昇していました。

なお、AMH値の上昇や低下を、そのまま「卵巣予備能が良くなった・悪くなった」と解釈することには注意が必要ですが、PCOSでは、発育途中の小さな卵胞が多いためAMHが高値になることがあり、ビタミンDの補充によってAMHが低下したのは「卵巣予備能が低下した」のではなく、PCOSに特徴的な高AMHの状態が和らぎ、卵胞発育がより正常な方向へ変化した可能性がある、と研究者らは述べています。

またAMHは、卵巣に存在するすべての卵子を直接数えているものではなく、主に発育途中の卵胞から分泌されるホルモンです。そのため著者らは、ビタミンDによるAMHの変化が、卵巣内の卵胞の状態や働きの変化を表しているのか、それとも実際の卵巣予備能の変化を示しているのかについては、さらに研究が必要だとしています。

<コメント>
今回の研究からは、ビタミンDとAMHの関係が単純なものではなく、PCOSの有無や排卵状態によって異なる可能性が示されました。ただし、ビタミンDを摂ればAMHが正常になり、妊娠しやすくなると結論づけることはできません。

ビタミンDと妊娠出産に関る研究は多くなされており、ビタミンDを補うことで実際に妊娠率や治療成績が改善するかどうかについては、まだ十分な結論が出ていませんが、ビタミンDは多くの日本人女性で不足または欠乏していることも明らかになっています。

ビタミンDの充足のためには、意識して日に当たり、また必要に応じてサプリメントでの補充も検討するとよいかもしれません。