妊娠中の食事パターンと子どもの行動発達との関連
妊娠中に清涼飲料や揚げ物、菓子類などを多く含む食事パターンだった母親の子どもでは、4歳時の行動面に違いがみられました。女児では外在化行動(攻撃的な行動や注意の問題など、周囲に向かって表れる行動上の問題)、男児ではADHDの臨床リスクとの関連が示されました。
胎児期は脳や神経系が発達する重要な時期であり、妊娠中の母親の栄養状態が子どものその後の発達と関連する可能性が研究されています。そこで今回、イタリアで行われている「Piccolipiù出生コホート」という研究のデータを用いて、妊娠中の食事パターンと生まれた子どもの4歳時の行動・認知発達との関連が調べられました。
対象となったのは、イタリア5地域で2011~2015年に登録された母子2,006組です。母親には出産前後に、妊娠期間全体を通してさまざまな食品をどの程度食べていたかを質問しました。その結果、食事は大きく「加工食品・高脂肪食品」パターンと「生鮮食品・魚」パターンの2つに分類されました。前者は清涼飲料やコーラ、揚げ物、スナック菓子、菓子類、マヨネーズなどを多く摂る食事、後者は魚、野菜、果物などを多く摂る食事を表しています。
子どもが4歳になった時点で、行動面を「子どもの行動チェックリスト(CBCL)」、認知発達を幼児向けの知能検査で評価しました。その結果、母親の「加工食品・高脂肪食品」パターンへの傾向が強いほど、子どもの外在化行動のスコアが高いことがわかりました。外在化行動とは、CBCLにおいて注意の問題や攻撃的な行動など、行動として外に現れる問題をまとめて評価したものです。この関連は特に女児で明確にみられました。
一方、男児では、母親の「加工食品・高脂肪食品」パターンのスコアが高くなるごとに、ADHDに関連する行動が臨床的に注意を要する範囲に入る可能性が高いことが示されました。
なお、「生鮮食品・魚」パターンと行動発達との間には明確な関連は認められず、どちらの食事パターンについても知能検査による認知発達との関連はみられませんでした。
<コメント>
今回の研究は、妊娠中の食事と子どもの行動発達との関連を調べた観察研究であり、加工食品や高脂肪食品を食べることが直接、子どもの行動上の問題を引き起こすと証明したものではありません。また、食事については母親自身が妊娠期間を振り返って回答しており、使用した食事質問票は正式な妥当性検証が行われていないことなども研究の限界として挙げられています。
今回の研究では、妊娠中の女性の食事(加工食品や高脂肪食品)と子供の外在化行動や男児のADHDとの関連が明らかとなっています。
対象となったのはすでに妊娠が判明した女性ですが、妊娠を望む女性にとっては、妊娠を期に食生活をすぐに大きく変えることは簡単ではありません。妊娠前から、清涼飲料や揚げ物、スナック菓子、菓子類などに偏らず、野菜、果物、魚などさまざまな食品を取り入れる食生活を習慣にしておくことは、妊娠後も無理なくバランスのよい食事を続けるための準備になります。
反対に、今回の結果だけをもとに特定の食品を避ける必要はなく、「揚げ物を食べたら子どもに影響する」と考える必要もありません。研究で評価されたのは個々の食品ではなく、日頃どのような食品を組み合わせて食べているかという食事全体のパターンです。妊娠を意識した時から食事のバランスを意識しておくことは、自分自身の健康だけでなく、将来の自身とお子さんの健康を考えるうえでも大切な準備の一つといえるでしょう。

